※この記事は筋・筋膜性腰痛を知る上での導入に焦点を当てています。筋・筋膜性腰痛についてすぐに調べたい方はこちらから。
私たちの身体は「分業制」
腰が痛い=腰に原因がある。そう思うのは、ごく自然なことです。しかし、腰痛は腰だけを見ても本当の原因は見えてこないことがあります。
私たちの身体は、たくさんの筋肉や関節がチームとなって動いています。歩く。立ち上がる。靴下を履く。荷物を持つ。どれ一つとっても、腰だけが頑張っているわけではありません。
股関節、胸椎、お尻、お腹、そして脚。それぞれが役割を果たすことで、腰への負担を分散しています。ところが、そのチームワークが崩れると…では今日は腰さん、よろしくお願いします。という流れになってしまいます。

会社で一人だけが仕事をしていたらどうなるでしょう?営業も。経理も。掃除も。電話対応も。全部一人で担当したら、あっという間に疲れてしまいます。実は身体も同じです。
例えば、しゃがむ動作。本来なら、股関節が曲がる、膝が曲がる、足首が動く、背中がしなやかに動くこの連携によって、腰への負担は最小限になります。
しかし股関節が硬くなると、腰が率先して、私が曲がります。胸椎が動かなければ、それも私ですね。お尻の筋肉が働かなければ…。腰からすると、完全に人手不足です。
腰痛も腰が弱いから起こるのではなく、腰が働きすぎた結果として起こることが少なくありません。
腰はサボるのが苦手
腰の筋肉は、立っている時も、座っている時も、寝返りを打つ時も働いています。まるで24時間営業のコンビニ店員のような存在です。
だからこそ、腰を休ませるには、腰をマッサージするよりも、股関節やお尻に仕事をしてもらうこと。
腰に今日は定時で帰っていいよ。そう言える身体づくりこそが腰痛の改善への第一歩なのです。
腰は、とても我慢強い場所です。多少の疲れなら文句も言わず、毎日あなたを支え続けています。しかし、さすがの腰も限界が近づくと、少しずつサインを送り始めます。
最初は、なんとなく重い程度だった違和感が、気づけば毎日のように感じる腰痛へ変わっていくことも珍しくありません。
腰はエースであって、一人チームではありません。
野球でもサッカーでも、エース一人だけでは試合には勝てません。身体も同じです。股関節、お尻、体幹、背中、そして呼吸。みんなが自分の役割を果たしてこそ、腰は本来の力を発揮できます。
もし今、腰が痛いなら…。腰が弱いのではありません。チームメイトが少し休みすぎているだけかもしれません。だから当院では、腰だけを診るのではなく、身体全体のチームワークを整えることを大切にしています。
当院では腰だけを診ません
腰痛の本当の原因は、痛い場所とは限りません。
先生、腰が痛いので腰を診てください。もちろん、腰はしっかり診させていただきます。しかし、本当に知りたいのは、なぜ腰に負担が集中してしまったのか?ということです。
腰痛は結果であり、原因ではないことが少なくありません。そのため当院では、腰だけではなく身体全体を一つのチームとして評価しています。
股関節はしっかり動いていますか?
腰痛の方を診ていると、股関節が思うように動いていないというケースは非常に多くあります。本来なら股関節が担当するはずの、しゃがむ動作・立ち上がる動作・歩く動作、これらを腰が代わりに行えば、腰の筋肉は疲れてしまいます。
お尻の筋肉は働いていますか?
座る時間が長くなると、大殿筋や中殿筋は働きにくくなります。すると歩く時も、階段でも、立ち上がる時も、腰が必要以上に頑張ることになります。
実際に施術後、お尻が使えるようになったら腰が楽になった。という方は少なくありません。腰を守るには、お尻にも頑張ってもらうことが大切なのです。
背中は動いていますか?
腰が痛いのに背中?そう思われる方も多いでしょう。しかし身体をひねる動きや反る動きでは、胸椎がしっかり働くことが重要です。胸椎が硬いと、その仕事は腰へ。こんな状態では、腰の残業は終わりません。
呼吸も確認
腰痛なのに呼吸?これも患者さんからよく聞かれる質問です。実は横隔膜は、呼吸だけでなく、体幹を安定させる大切な筋肉です。
呼吸が浅くなると、お腹の圧力(腹圧)が十分に働かず、腰への負担が増えやすくなります。深呼吸がしやすくなるだけで、立っているのが楽になった。そんな方も珍しくありません。
身体の使い方には「クセ」があります
同じ荷物を持っても、腰が痛くなる人。何ともない人。その違いは筋力だけではありません。立ち方。歩き方。しゃがみ方。物の持ち上げ方。こうした日常動作の積み重ねが、腰への負担を大きく左右します。
だから当院では、どこが痛いですか?だけではなく、普段どのように身体を使っていますか?というところまで丁寧に確認しています。
以上のように腰痛の原因は非常に多岐にわたるものであり、その原因の追究を腰のみに留めてはいけません。
それで次回記事では腰痛についてより立体的に知見を広げるためにも、いよいよ主題である筋・筋膜性腰痛に焦点を当てた話をいたします。
