朝、ベッドから降りた最初の一歩でかかとが痛むなら、足底腱膜炎かもしれません。手術をしなくても良くなる方が大半ですが、治し方にはコツがあります。
足底筋膜炎(そくていきんまくえん)と書かれることもありますが、同じ病気です。
症状とは
足底腱膜炎とは

足の裏には、かかとの骨の内側から5本の足指の付け根まで、丈夫な腱膜が一枚張っています。ギターの弦をイメージしてください。土踏まずのアーチを、下からピンと支えている弦です。
歩くたびに、この弦は引っ張られます。足指で地面を蹴り出す瞬間が、いちばん強く張ります。
同じ場所に小さな負担が積み重なると、かかとの内側が傷んで痛みになります。朝の一歩目が痛いのは、じっとしていた腱膜がいきなり引っ張られるからだと考えられています。
朝のトイレまでの数歩が、いちばんつらくありませんか?

豆知識
名前に「炎」とあっても、炎症だけの病気ではありません
米国理学療法士協会の2023年ガイドラインは、足底腱膜炎を、炎症と変性の両方の性質をもつ幅広い状態として説明しています。
英語圏では、炎の字を外して「fasciopathy」と呼ぼうという動きもあります。湿布や痛み止めだけで粘っても楽になりにくいのは、こうした性質が関わっているのかもしれません。
原因
原因は「急に増えた負担」
足底腱膜炎は、足の病気の約15%を占めます。40〜60歳に多いとされています。
引き金は、歩く・走る・立つ量が急に増えることです。旅行で歩き回った。マラソンの練習を始めた。仕事が立ちっぱなしになった。思い当たることはありませんか?
ガイドラインが挙げるリスクは、足首の硬さ、体重、走ること、衝撃を吸収しにくい環境での立ち仕事です。
靴も犯人になります。底が固くて薄い靴や、土踏まずを支えない靴は、弦を引っ張りっぱなしにします。足のアーチについては、こちらの記事で詳しく書いています。
ちなみに、ガイドラインによると、足底腱膜炎の方は症状が1年以上たってから受診することが多いそうです。「そのうち治る」と思う気持ちは、よく分かります。
見分け方
3つのセルフチェック
当てはまる数が多いほど、足底腱膜炎の可能性が高くなります。
- 朝や、座っていたあとの一歩目が、かかとの内側に痛い
- かかとの内側を押すと痛い(足の親指を反らせて押すと、もっと痛い)
- ここ1〜2か月で、歩く・走る・立つ時間が増えた
ガイドラインも、一歩目の痛み、活動量の増加、かかとの内側の圧痛を、診断の手がかりにしています。
似た場所が痛む病気には、かかとの脂肪のクッションの障害、神経の障害、疲労骨折があります。自己判断せず、確かめましょう。
病院で言われた言葉を、やさしく言い換えると
| 病院で聞く言葉 | やさしい言い換え |
|---|---|
| 足底腱膜炎(足底筋膜炎) | 足の裏の腱膜が傷んでいる状態。同じ病気の別名です。 |
| 腱膜の肥厚 | 超音波で腱膜が厚く見えること。4mmを超えると診断の目安ですが、症状のない方にも見られるので、画像だけでは決まりません。 |
| 保存療法 | 手術をしない治療のこと。ストレッチ、運動、テーピング、靴やインソールの調整を指します。 |
| 体外衝撃波治療 | 痛む場所に衝撃波を当てて、治りを促す治療。日本では、難治性の足底腱膜炎が保険の対象です。 |
| ステロイド注射 | 強い痛み止めの注射。効くことはありますが、腱膜の断裂といった副作用が報告されており、慎重に使われます。 |
| 足底線維腫 | 土踏まずの腱膜にできる良性のしこり。足底腱膜炎とは別のものです。 |
経過と受診の目安
どのくらいで治る?病院へ行く目安
日本医事新報の解説では、保存療法で約9割の方が良くなるとされています。症状が3〜6か月以上続くときは「難治性」と判断して、体外衝撃波や手術を検討します。
多くの方は、そこまで行きません。ただ、次のサインがあるときは、先に整形外科で確かめてください。
こんなときは、先に整形外科へ
- 夜や、じっとしている時にもズキズキ痛む
- かかとが腫れて、熱をもっている
- 足の裏や指先に、しびれがある
- 転んだ・ひねった直後から強く痛み、体重をかけられない
- 土踏まずに、硬いしこりがある
- 3か月ケアしても、ほとんど変わらない
セルフケア
自宅ケアは、3つだけ
2023年のガイドラインは、足底腱膜をねらったストレッチと、ふくらはぎのストレッチを、短期にも長期にも勧めています。
ガイドラインで紹介された系統的レビューでは、足底腱膜のストレッチのほうが、ふくらはぎだけのストレッチより、痛みの点数(100点満点)が約12点多く下がりました。
やることは3つです。ストレッチは30秒キープを数回、合計2分を目安にします。痛みを我慢して伸ばさないでください。
① 足底腱膜ストレッチ
30秒×4回(合計2分)を、朝と夜の1日2回
- 椅子に座り、痛む足を反対の膝にのせます
- 片手で足指と親指をすねの方へ反らせます
- もう片方の手で土踏まずを触り、腱膜が張っているのを確かめて、30秒キープします
② ふくらはぎのストレッチ
膝を伸ばして30秒×2回、膝を曲げて30秒×2回(合計2分)
- 壁に両手をつき、痛む足を後ろに引いて、かかとは床につけたままにします
- 後ろの膝を伸ばしたまま体重を前にかけ、ふくらはぎの上のほうを30秒伸ばします
- 後ろの膝を軽く曲げて、ふくらはぎの下のほう(アキレス腱の近く)を30秒伸ばします
③ タオル踵上げ(筋トレ)
10回×3セットを目安に、1日おき
- 丸めたタオルを足指の下に敷き、足指を反らせた形で立ちます
- 反動をつけず、ゆっくりかかとを上げて、ゆっくり下ろします
- 慣れたら片足で行います。翌朝の一歩目が悪くなる量は、やりすぎです

豆知識
筋トレとストレッチ、早く楽になるのはどっち?
デンマークの研究では、3か月の時点で、タオル踵上げのほうがストレッチより足の機能の改善が大きくなりました。
ところが、半年から1年でみると、ほぼ同じ場所にたどり着いています。ウサギとカメの話です。早く楽になりたい方は、タオル踵上げを足してみてください。
もうひとつ、意外な結果があります。インソールだけで短期の痛みを取る力は、小さいという分析が出ているのです。ガイドラインも、インソールの単独使用は勧めていません。運動やテーピングと組み合わせると、効果が期待できます。
ほかのセルフケアは、自宅ストレッチのページにまとめています。
当院の施術
当院の施術の流れ
- お話を伺います。痛む場面や時間帯、お仕事、靴、運動の量を確かめます。
- 痛みの場所を確かめます。かかとの内側を押す、足指を反らす。ふくらはぎや足首の硬さ、足のアーチ、歩き方も見ます。
- 施術をします。ふくらはぎや足裏のこわばりを手技でゆるめ、足首の動きを整えます。必要に応じて、テーピングを使います。
- 自宅ケアをお伝えします。上の3つのうち、あなたに合うものを、1つずつ。
- 経過を見ます。3か月たっても変わらない場合や、危険なサインがある場合は、整形外科をご紹介します。
手技は、ガイドラインで推奨度Aです。テーピングも推奨度Aで、Guimarães らの分析では、ローダイテーピングによって、1〜6週間の短期の痛みが、目盛りで平均3.6下がりました。長くは続かない効果なので、運動と合わせて使います。
よくある質問
足底腱膜炎のQ&A
Q. 湿布や痛み止めだけで治りますか?
痛みを和らげる助けにはなります。ただ、足の裏への負担そのものは変わりません。ガイドラインは、電気治療よりも、手技・ストレッチ・インソールを勧めています。
Q. インソールは必要ですか?
単独では、短期の痛みへの効果は小さいとされています。運動やテーピングと組み合わせて使うのが、おすすめです。靴選びは、足のアーチの記事も参考にしてください。
Q. 運動や仕事は続けてもいいですか?
翌朝の一歩目が、前の日より悪くならない範囲なら、続けて構いません。悪くなったら、量を半分にして様子を見ましょう。
Q. 土踏まずにしこりがあります。足底腱膜炎ですか?
足底線維腫という、別の良性のしこりかもしれません。靴の中に小石が入っているような違和感があるのが特徴です。痛みで困るときは、注射や手術になることもあるので、整形外科で確かめてください。
あわせて読みたい:足のお悩み一覧 / 足のアーチ / 初めての方へ
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参考文献
- Koc TA Jr, Bise CG, Neville C, et al. Heel Pain–Plantar Fasciitis: Revision 2023. J Orthop Sports Phys Ther. 2023;53(12):CPG1-CPG39. doi:10.2519/jospt.2023.0303
- Rathleff MS, Mølgaard CM, Fredberg U, et al. High-load strength training improves outcome in patients with plantar fasciitis: a randomized controlled trial with 12-month follow-up. Scand J Med Sci Sports. 2015;25(3):e292-e300.
- Calf stretching and plantar fascia-specific stretching for plantar fasciitis: a systematic review and meta-analysis. J Bodyw Mov Ther. 2020;24(4):222-232. doi:10.1016/j.jbmt.2020.06.013
- Effects of therapeutic interventions on pain due to plantar fasciitis: a systematic review and meta-analysis. Clin Rehabil. 2023;37(6):727-746. doi:10.1177/02692155221143865
- 根井雅, 笹原潤. 足底腱膜炎(足底筋膜炎)の病因と診断・治療の現況は? 日本医事新報(Web版, 最終更新2026年2月21日).
- 笹原潤. 足底腱膜炎の治療. 臨床整形外科. 2017;52(5):476-479.
- MSDマニュアル プロフェッショナル版「足底腱膜炎」.
※この記事は一般的な情報です。診断や治療の代わりにはなりません。強い痛みや、いつもと違う症状があるときは、医療機関を受診してください。

若林 直人
若林接骨院 院長
柔道整復師
最終更新:2026年10月18日
