こんにちは。若林接骨院です。
「キーン…」「ピーーー…」夜、静かになった瞬間に聞こえてくる耳鳴り。昼間はそれほど気にならないのに、布団に入った途端に存在感を増してくる。まるで空気を読まない近所のセミが、深夜に一匹だけ鳴き始めたようなものです。
「昼間はどこにいたんだよ!」とツッコミたくなりますよね。実は耳鳴りで悩んでいる方のお話を聞いていると、ある共通点があります。それは、「眠れていない」ということです。
耳鳴りの患者さんは睡眠に問題を抱えていることが多い
耳鳴りで来院される方の中には、
- 寝つきが悪い
- 夜中に何度も目が覚める
- 朝起きても疲れが取れない
- いびきがひどい
- 鼻づまりがある
- 睡眠時無呼吸症候群がある
という方が少なくありません。「耳の問題なのに睡眠が関係あるの?」と思われるかもしれません。実はかなり関係があります。
人間の脳は気になるものを勝手に探してしまう
例えばこんな経験ありませんか?
家族でテレビを見ていても、自分の悪口だけはなぜか聞こえる。遠くで誰かが自分の名前を言った気がすると反応する。不思議ですよね。
脳というのは、自分にとって重要だと思った情報を優先的に拾い集めるクセがあります。耳鳴りも同じです。最初は「ちょっと鳴ってるな」くらいだったものが、「また鳴ってる」「治るのかな」「病気じゃないかな」と気にし始めると、脳は「おっ、この音は重要なんだな!」と勘違いします。
すると耳鳴り監視員として24時間勤務を始めるわけです。頼んでもいないのにです。
耳鳴りで脳の警報装置が作動する
脳の中には「扁桃体(へんとうたい)」という場所があります。これは感情を担当する部署です。不安担当課長みたいなものです。
耳鳴りが気になると、扁桃体が「大変だ!」「何か問題が起きているぞ!」と騒ぎ始めます。すると今度は自律神経へ連絡が入ります。
自律神経を車に例えると分かりやすい
自律神経には2つあります。
交感神経
アクセルです。活動モードです。仕事、運動、家事などを頑張るときに働きます。
副交感神経
ブレーキです。休息モードです。リラックスして眠るために必要です。
本来なら夜になるとアクセルを緩めてブレーキをかけるはずです。ところが耳鳴りが気になると、脳の不安担当課長が「緊急事態です!」と騒ぐため、アクセル全開になります。
眠りたいのに脳だけ24時間営業
患者さんの中には「身体は疲れているんです」と言われる方がいます。確かに身体は疲れています。でも脳は、コンビニで言えば24時間営業中です。閉店しません。電気も消えません。店長も帰りません。その状態で「さあ寝ましょう」と言われても難しいですよね。
さらに厄介なのが「眠れなかった記憶」
ここで登場するのが海馬(かいば)という場所です。脳の記憶係です。一度、「耳鳴りで眠れなかった」という経験をすると、海馬がしっかり記録します。
そして次の日の夜になると、「昨日も眠れなかったよね?」「今日も危ないんじゃない?」と余計なお知らせを送ってきます。すると不安になる。不安になると扁桃体が興奮する。扁桃体が興奮すると交感神経が緊張する。
結果、また眠れない。見事な悪循環の完成です。脳は優秀ですが、ときどき余計なお世話もしてくれます。
耳鳴りは耳だけの問題ではない
ここで大切なのは、耳鳴りがある=耳が悪いだけではないということです。もちろん耳の問題はあります。しかし、
- 脳
- 自律神経
- 睡眠
- ストレス
これらも大きく関係しています。だから当院では耳だけではなく、「ちゃんと眠れているか」を非常に重視しています。
そもそも耳鳴りはなぜ起こるのか?

少しだけ耳の仕組みを説明します。耳は大きく外耳、中耳、内耳の3つに分かれています。音が耳に入ると鼓膜が震えます。すると耳の中にある、ツチ骨、キヌタ骨、アブミ骨という小さな骨が振動します。
患者さんに説明すると、「耳の中に骨があるんですか?」と驚かれることがあります。あります。しかも3個もあります。身体はなかなか凝った作りをしています。
その振動がさらに奥の蝸牛(かぎゅう)というカタツムリみたいな場所へ伝わります。そこで音が電気信号に変換されて脳へ送られるわけです。
年齢とともに高音が聞こえにくくなる理由
年齢を重ねると、音を感じる有毛細胞が少しずつ減っていきます。すると高い音が聞き取りにくくなります。脳は聞こえなくなると困るので、「もっと音量を上げろ!」と頑張ります。これが耳鳴りの一因と考えられています。
いわば、脳が自主的にカラオケを始めてしまうようなものです。誰もリクエストしていないのにです。
自律神経を知る簡単な方法
耳鳴りの方におすすめしているのが体温測定です。「え?耳鳴りなのに体温?」と思うかもしれません。実は体温は自律神経の働きを反映しています。理想は、朝低く、昼に高くなり、夜に向かって下がる。富士山のようなきれいな山型です。
ところが自律神経が乱れていると、朝から高い、昼に下がる、夜に上がるなどバラバラになります。まずは自分の身体が今どんな状態なのかを知ることが大切です。
まとめ
耳鳴りでお悩みの方は、耳だけではなく脳・自律神経・睡眠にも目を向ける必要があります。特に、「耳鳴りが気になって眠れない」という方は、まず眠れる身体を作ることが改善への第一歩です。
耳鳴りを消そうと必死になるより、身体が安心して眠れる環境を整えること。その結果として耳鳴りが気にならなくなってくる方も少なくありません。もし耳鳴りと睡眠の問題でお困りでしたら、一人で抱え込まずご相談ください。耳だけを見るのではなく、身体全体のバランスから一緒に考えていきましょう。
