坐骨神経痛

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お尻から脚にかけての痛みやしびれを、まとめて坐骨神経痛と呼びます。病名ではなく症状の名前なので、出発点を見分けられると、楽になる道が見えてきます。

「お尻の痛み」「脚のしびれ」「ももの裏のつっぱり」「腰からふくらはぎに走る痛み」も、この記事では坐骨神経痛としてお話しします。

症状とは

坐骨神経痛は「症状の名前」です

頭痛が病名ではないのと同じです。坐骨神経のどこかで何かが起きている、というお知らせにすぎません。

日本ペインクリニック学会の治療指針は、原因の80〜90%を、腰で神経の根元が傷む「根性坐骨神経痛」としています。腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症、変形性腰椎症、腰椎すべり症などです。

痛いのはお尻。犯人は腰。このパターンが、いちばん多いのです。

お尻の筋肉(梨状筋)が神経を締めつける梨状筋症候群もあります。ただ、全体で見れば少数派です。「お尻が硬いから坐骨神経痛」と決めつけると、出発点を見誤ります。

まれですが、脊髄や骨盤の腫瘍、帯状疱疹、糖尿病による神経の傷みが原因になることもあります。

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見分け方

3問チェック:出発点は腰か、お尻か

目安として、次の3つを読んでみてください。

  1. 前かがみ、座る、咳やくしゃみで、脚に響く → 腰の神経の根元(ヘルニアなど)が疑われます。
  2. 歩くと脚が重くしびれ、前かがみで座ると楽になる → 脊柱管狭窄症が疑われます。
  3. 座る時間が長いほどお尻の奥が痛み、そこを押すと脚に響く → 梨状筋のまわりが疑われます。

あなたはどれに近いでしょうか。2つ以上重なる方もいます。あくまで目安です。決めるのは診察と、必要なら画像検査です。

受診の目安

すぐ病院へ行ってほしいサイン

次のどれかがあるときは、セルフケアより先に整形外科へ行ってください。

  • 尿が出にくい、漏れる、便の感覚が鈍い
  • 股のあたりの感覚がなくなってきた
  • 足首やつま先に力が入らない、つま先が上がらない
  • 両方の脚に症状がある
  • 急にひどくなった激しい痛み、転倒や事故のあとの痛み
  • 発熱、原因のわからない体重減少、がんの治療歴がある
  • 横になっても、夜も痛みが続く

数週間たっても良くなる気配がないときも、一度診てもらってください。検査で何もなければ、それは良い知らせです。

自宅ケア

自宅ケア:動くほうがいい、でも頑張らない

最初に、研究者の本音からお話しします。慢性の坐骨神経痛を扱った解析の結論は、確実に一番といえる治療はまだない、でした。急性〜亜急性を扱った解析も、証拠の確かさはとても低いとしています。

ストレッチを教える側としては、耳が痛い話です。

それでも、運動をやる意味はありました。18試験・2,699人のレビューでは、全体の結果にばらつきがありました。助言だけの最小限の対応と比べると、1年以降の痛みは理学療法のほうが軽くなっていました。

安静はどうでしょう。コクランレビューでは、坐骨神経痛で「寝て過ごす」と「普段どおり動く」を比べて、痛みにも動きやすさにも差が出ませんでした。寝て得をする証拠がないので、私は動ける範囲で動く派です。

では、動ける範囲とはどこまででしょう。目安は、動いている最中に脚の痛みやしびれが強まらないこと。強まったら、そこで止めます。

① 歩く:1回5〜10分から

朝・昼・夕に分けて構いません。歩いている間に脚の症状が強まらない範囲で、少しずつ延ばします。

② 神経スライダー:10往復を1日2回まで

椅子に座って背中を軽く丸め、片方の膝をゆっくり伸ばしながら顔を上げます。次に、膝を曲げながら顔を下げます。これで1往復です。神経を引っ張らず、すべらせるイメージです。脚の痛みやしびれが出る手前で止めてください。

運動に神経モビライゼーションを組み合わせた群は、慢性の解析で短期の脚の痛みが大きく下がっていました(確かさは低い)。回数は研究で決まった量ではなく、私が現場で使う目安です。

③ お尻のストレッチ:30秒×2回、左右で合計2分

チェック③に近い方向けです。椅子に浅く座り、痛い側の足首を反対の膝に乗せます。背すじを伸ばしたまま、体を前へ倒します。お尻が心地よく伸びるところで30秒。もも裏からつま先へしびれが走るなら、そこで中止です。

お尻のストレッチ画像

やらないほうがいいこと

  • ももの裏を強く伸ばす前屈(神経を引っ張りやすく、症状が強い時期は逆効果になることがあります)
  • 何日も寝て過ごす
  • 脚に響く痛みを我慢して、同じ動きを繰り返す
  • お尻の奥を、痛みをこらえて強く押し込む

豆知識

人差し指を立てる院長

豆知識

大きく飛び出したヘルニアほど、体が自分で片づけやすい

2023年のメタ解析で、MRIで縮小が見られた割合は、軽い膨らみで13.3%、突出で52.5%、脱出で70.4%、分離したタイプで93.0%でした。

体の免疫が、飛び出した組織を異物として片づけるためと考えられています。MRIを見て青ざめた方に、まず伝えたい話です。

症状の改善も縮小と関連していましたが、追跡は平均11.5か月です。数週間で消える話ではありません。

読み替え表

病院で聞いた言葉の読み替え

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病院で聞く言葉ふつうの言葉でいうと
根性坐骨神経痛(神経根症)腰で神経の根元が圧迫されて起きる、脚の痛みやしびれ
椎間板ヘルニア背骨のクッション(椎間板)の中身が飛び出し、神経に触れている状態
脊柱管狭窄症神経の通り道が狭くなった状態。歩くと脚がつらく、休むと楽になるのが典型
間欠性跛行歩いては休み、歩いては休む、を繰り返す歩き方
梨状筋症候群お尻の奥の筋肉のあたりで、坐骨神経が締めつけられて起きる痛み
SLRテスト仰向けで脚を持ち上げ、脚に痛みが走るかを調べる検査
保存療法手術をしない治療(薬、リハビリ、注射など)

よくある質問

よくある質問

Q. 手術になることはありますか?

あります。足に力が入らない、排尿・排便の異常があるときは急ぐサインです。強い痛みが続いて生活が成り立たないときも、手術や注射が選択肢になります。Dove らのレビューでも、手術などの積極的な治療は、短〜中期では理学療法より痛みと動きが改善していました。迷う段階で診てもらうほうが、選択肢は広がります。

Q. 寝て休んだほうが早く治りますか?

寝込むほどの安静は、おすすめしません。コクランレビューで、坐骨神経痛の安静の助言と活動の助言は、痛みも動きやすさも変わりませんでした。著者らは、安静には害の可能性もあるので、動くほうが妥当と述べています。

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ひとりで悩まず、まずはご相談ください

お尻や脚の痛み、しびれ。出発点が腰なのか、お尻なのかを、一緒に整理するところから始めましょう。LINEなら、症状を文章で送るだけで大丈夫です。

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参考文献を開く
  • 日本ペインクリニック学会 ペインクリニック治療指針 第Ⅳ章 Ⅳ-J-1 坐骨神経痛(jspc.gr.jp 掲載PDF)
  • Zhu Z, Schouten T, Strijkers R, Koes B, Chiarotto A, Gerger H. Effectiveness of Nonsurgical Interventions for Patients With Acute and Subacute Sciatica: A Systematic Review With Network Meta-Analysis. J Orthop Sports Phys Ther. 2025;55(6). doi:10.2519/jospt.2025.13068
  • Effectiveness of non-surgical interventions for patients with chronic sciatica: A systematic review with network meta-analysis. J Pain. 2025;33:105431. doi:10.1016/j.jpain.2025.105431
  • Dove L, Jones G, Kelsey LA, Cairns MC, Schmid AB. How effective are physiotherapy interventions in treating people with sciatica? A systematic review and meta-analysis. Eur Spine J. 2023;32(2):517-533.
  • Systematic review and meta-analysis of predictive factors for spontaneous regression in lumbar disc herniation. J Neurosurg Spine. 2023;39(4):471-478. doi:10.3171/2023.6.SPINE23367
  • Chiu CC ら. The probability of spontaneous regression of lumbar herniated disc: a systematic review. Clin Rehabil. 2015;29(2):184-195.
  • Dahm KT, Brurberg KG, Jamtvedt G, Hagen KB. Advice to rest in bed versus advice to stay active for acute low-back pain and sciatica. Cochrane Database Syst Rev. 2010;(6):CD007612.

この記事は一般的な情報です。診断や治療に代わるものではありません。症状が強いとき、続くときは、医療機関で診察を受けてください。

この記事を書いた人

若林接骨院 院長 若林直人

若林 直人

若林接骨院 院長

柔道整復師

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