実は「肩」よりも首の奥の筋肉が関係しています
当院には「肩がこると頭痛がする」という症状で悩まれている方が多くお越しになります。
しかし実は、頭痛の原因は肩そのものではなく、首の深い部分にある筋肉や神経が関係していることが少なくありません。
「肩こりによる頭痛」は単純な筋肉疲労ではなく、首周囲の筋肉の緊張によって神経が過敏になることで起こると考えられています。
頭痛を引き起こしやすい筋肉とは?
特に重要なのが
・後頭下筋群
・肩甲挙筋
・僧帽筋上部
・胸鎖乳突筋です。
なかでも後頭下筋群は頭の付け根に存在する小さな筋肉です。サイズは小さいですが、頭の位置を微調整する重要な働きを担っています。
スマホを見る姿勢やパソコン作業が続くと、この筋肉は休む暇がありません。まるでブラック企業で働く社員のような状態です。残業代も出ません。
なぜ筋肉が硬くなると頭痛になるの?

ここで重要になるのが、「三叉神経頚髄複合体」という神経ネットワークです。少し難しい名前ですが、簡単に言うと「首の情報」と「頭の痛みの情報」が集まる共有スペースです。
首の筋肉が硬くなると、脳は「首が疲れている」ではなく「頭が痛い」として認識することがあります。これが肩こりから頭痛が起こる大きな理由の一つです。
つまり脳の中では首の問題と頭痛が同じ回線を使っているのです。Wi-Fiが混線しているような状態と考えると分かりやすいかもしれません。
頭の重さは想像以上
成人の頭の重さは約4〜6kgあります。ボウリング球1個分です。
頭が前へ5cm出ると、首への負荷は約2倍近くまで増加するといわれています。さらに10cm前に出ると、首周囲の筋肉には20kg以上の負荷がかかるという報告もあります。
つまりスマホを見るたびに、首の筋肉は毎回ボウリング球を抱えてスクワットしているようなものです。文句を言いたくなる気持ちも分かります。
実は「伸ばすだけ」では改善しない
「硬い筋肉は伸ばしましょう」よく聞くセリフだと思います。伸ばすのは確かに大事ですが、筋肉の柔軟性だけではなく筋肉の運動機能も重要です。
特に頭痛を持つ方では
・深層頚屈筋の機能低下
・肩甲骨周囲筋の機能低下
・頚椎の運動制御能力の低下
が報告されています。つまり、硬いから伸ばすではなく、正しく動かせるようにすることが大切です。
1分でできる頭痛予防エクササイズ

あご引きエクササイズ
① 背筋を伸ばして座る
② あごを真後ろへ引く
③ 5秒保持
④ 5回繰り返す
ポイントは下を向かないことです。二重あごを作るような感覚で行います。この運動は深層頚屈筋を活性化し、頭の位置を正常に近づける効果が期待できます。
肩甲骨リセット運動
① 両肘を90度に曲げる
② 肩甲骨を軽く寄せる
③ 3秒保持
④ 10回繰り返す
肩甲骨が安定すると、首の筋肉の仕事量が減少します。会社で例えると、働きすぎている首の筋肉の業務を肩甲骨チームへ分散させるイメージです。
これらは肩こり由来ではない可能性があります。速やかな医療機関への受診をおすすめします。
まとめ
肩こりによる頭痛は、単なる筋肉疲労ではなく、首の筋肉・姿勢・神経系の働きが複雑に関係して起こります。
だからこそ、ただ肩を揉むだけでは根本的な改善につながらないことがあります。頭痛を繰り返している方は、首や肩甲骨の動き、姿勢のクセまで含めて見直してみることが大切です。
頭痛薬に頼る前に、まずは首の筋肉が出しているSOSサインに耳を傾けてみませんか?
