内側半月板損傷

内側半月板画像

膝の内側がズキッと痛む、正座がつらい、階段の下りでカクッと崩れそうになる。それはもしかすると内側半月板損傷のサインかもしれません。今回は、内側半月板損傷の正体から自宅ケアまで解説していきます。

1. 内側半月板ってそもそも何?

膝関節の中には、大腿骨(太ももの骨)と脛骨(すねの骨)の間に挟まれた、三日月形の軟骨組織が2枚あります。これが半月板です。膝の内側にあるものを内側半月板、外側にあるものを外側半月板と呼びます。

役割をひとことで言うなら、「膝のクッション材」兼「安定させるストッパー」。体重の負荷を分散させて軟骨を守りつつ、膝がグラグラしないように支えるという、地味だけれど超重要な仕事をしています。座布団と滑り止めを一人二役でこなしているようなものです。

院長の豆知識解説

座布団は歳をとると硬くなる

半月板はコラーゲン線維でできた繊維軟骨で、加齢とともに水分量が減り、弾力を失っていきます。つまり座布団がだんだんせんべい化していくイメージ。年齢を重ねた膝ほど、特別な外傷がなくても、気づいたら傷んでいたということが起こりやすくなるのです。

2. なぜ内側は傷みやすいのか

実は半月板損傷は、外側よりも内側で圧倒的に多く発生します。理由は構造にあります。内側半月板は関節包や内側側副靭帯としっかり癒着しており、動きの自由度が低いのです。外側半月板がスルスル動いて衝撃を逃がせるのに対し、内側は逃げ場がなく、ひねりの力をまともに受け止めてしまいます。

身近な例えで言うなら、外側半月板は「揺れる吊り橋」、内側半月板は「地面に固定された橋脚」。頑丈な分、想定外の力がかかったときに壊れやすいというジレンマを抱えているわけです。

3. 損傷が起こる2つのパターン

内側半月板損傷には、大きく分けて2つの発生パターンがあります。

① 外傷性(スポーツ・日常のケガ)

足を地面につけたまま膝をひねる動作(サッカーの切り返し、バスケのストップ&ターン、階段の踏み外しなど)で起こります。ジャンプの着地や、しゃがみ込みからの急な立ち上がりも要注意です。

② 変性性(加齢による損傷)

特別なケガの記憶がないのに、気づいたら痛みが出ているパターン。膝の内側の痛みの中でも、内側半月板後根断裂と呼ばれるタイプが、全半月板損傷の20%以上を占めるとも報告されています。これは、変形性膝関節症の初期サインとして特に注目されています。

4. こんな症状は要注意

  • 膝の内側を押すとピンポイントで痛い
  • 正座・しゃがみ込みで痛みや突っかかりを感じる
  • 階段の下りで痛みが強くなる
  • 膝に水が溜まる(腫れぼったい感じ)
  • 膝が急にカクッと抜けるような感覚(膝崩れ)
  • ある角度で膝が完全に伸びきらない、または曲がりきらない(ロッキング)

5. 筋肉との深い関係

半月板は、軟骨だから筋トレしても関係ないと思われがちですが、実は大間違い。半月板にかかる負担は、周囲の筋肉の働き方次第で大きく変わります。

◆ 大腿四頭筋

太もも前面の筋肉で、膝を安定させ着地の衝撃を吸収する主役。特に膝の内側に付着する内側広筋が弱ると、膝が内側に入り込みやすくなり、内側半月板への負担が増加します。

◆ 鵞足を作る3つの筋肉(縫工筋・薄筋・半腱様筋)

 鵞足の画像

膝の内側下方に、鵞足(がそく)と呼ばれる腱の集合部があります。ここに付着する3つの筋肉は、膝が外側にねじれる・内側に潰れる動きを制動する、いわば内側半月板の用心棒的存在。この筋群のコンディションが半月板の寿命を左右すると言っても過言ではありません。

◆ 股関節の外転筋・外旋筋(お尻の横〜奥の筋肉)

近年の運動学研究では、股関節の筋力低下が着地時の膝の内側への倒れ込みを助長し、結果的に内側の関節面への荷重を増やすことが指摘されています。膝のケアは膝だけでなく、お尻から考える必要があります。

最新知見

2024年に発表されたESSKA-AOSSM-AASPTによる国際コンセンサス(膝スポーツ医学領域の専門家会議)では、安定した膝であれば運動療法(筋力・神経筋トレーニング+患者教育)が手術と同等の改善効果を示したという臨床試験結果が紹介されています。

切るだけが選択肢ではなく、正しい運動と生活指導が有力な選択肢であることが、世界的にも見直されてきています。運動療法の必要性を感じさせますよね!

6. 自宅でできる1分セルフケア

痛みが強い時期や、腫れ・ロッキングがある場合は無理をせず専門家に相談してから行いましょう。痛みが出ない範囲が鉄則です。

① クアッドセッティング(大腿四頭筋の静止性収縮)

クアッドセッティング(大腿四頭筋の静止性収縮)

脚を伸ばして座り、膝の下に丸めたタオルを置きます。膝の裏でタオルを押しつぶすように、太もも前面にグッと力を入れて5秒キープ×10回。膝を動かさずに鍛えられるので、痛みが強い時期でも取り組みやすい種目です。

② ハムストリングス(もも裏)のストレッチ

脚を伸ばして座り、つま先にタオルをかけて手前に引きます。もも裏に心地よい伸びを感じる位置で20〜30秒キープ。血流を促し、膝周囲の柔軟性を保ちます。

③ 内転筋(内もも)ストレッチ

座って足の裏同士を合わせ、膝を軽く床方向に開きます。背筋を伸ばしたまま20〜30秒キープ。内もものこわばりは、鵞足まわりの筋肉の負担増につながるため、定期的に緩めておきましょう。

④ サイドレッグレイズ(股関節外転筋トレーニング)

横向きに寝て、上側の脚をまっすぐ天井方向にゆっくり持ち上げ下げします。10回×左右。お尻の横の筋肉を鍛えることで、膝が内側に倒れ込むクセの改善につながります。

7. 接骨院でできること

内側半月板損傷は、痛みの原因が半月板そのものだけでなく、周囲の筋バランスや関節の動かし方のクセに隠れていることが少なくありません。

当院では、痛みの評価はもちろん、姿勢・歩き方・筋肉の使い方まで含めてチェックし、手技によるケアと運動指導を組み合わせてサポートしています。病院に行くほどでもないけれど気になるという段階でこそ、ご相談ください。

若林接骨院
院長 若林直人

参考文献

  • ESSKA-AOSSM-AASPT. The Formal EU-US Meniscus Rehabilitation 2024 Consensus, Part II: Prevention, Non-Operative Treatment and Return to Sport. JOSPT Open, 2025.
  • 日本整形外科学会「半月板損傷」診療ガイド関連情報(症状・治療の一般解説)
  • 石橋恭之ほか編『膝関節の機能解剖と臨床』(整形外科・運動器リハビリテーション関連教科書)
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