変形性脊椎症

変形性脊椎症

レントゲンで「背骨が変形していますね」と言われて、驚いた方は多いと思います。この記事では、変形性脊椎症の正体と、病院へ行く目安、自宅でできることを、お話しします。

変形性脊椎症とは

日本人の腰椎の変形は推計3,800万人。年齢とともに増える変化です

背骨の骨と骨の間には、クッションの役目をする椎間板があります。年齢とともに水分が減り、弾力が落ちていきます。

クッションがへたると、荷重が骨のふちにかかります。骨は修復しようとして、ふちにトゲのような出っ張りをつくります。これが骨棘(こつきょく)です。

骨と骨の高さが減れば、背骨の後ろにある椎間関節にも負担がかかります。動かすと関節がきしみ、痛みが出ることがあります。

椎間板、椎骨、椎間関節に、加齢による変形が起こった状態。これが変形性脊椎症です。

椎間板、骨棘の画像

大規模調査のROAD研究では、腰椎の変形は男性の80.6%、女性の61.5%に見つかりました。日本で推計3,800万人にのぼります。年齢が高いほど、男性ほど、体重が重いほど多いこともわかっています。

変形と痛み

変形があっても、痛くない人のほうが多いです

画像の「変形」と、実際の「痛み」は、別の話です。

ROAD研究の別の解析では、高齢の方のうち、レントゲンではっきりした骨棘がある人は75.8%でした。腰痛がある人は28.8%です。

痛みのない人の画像を集めた分析でも、椎間板の変性は20歳で37%、80歳で96%に見つかっています。

指を立てて話す若林院長

豆知識

背骨の変形は、顔のしわや白髪に近い

80歳で96%ということは、画像に「変形なし」と出る人のほうが珍しい、ということです。しわや白髪があっても痛くないのと同じで、変形があるだけでは痛みは出ません。「背骨の白髪」くらいに思ってください。白髪を気にして夜眠れなくなる人は、あまりいません。

ただ、変形が進んだ方の中には、痛みと関係している人もいます。ROAD研究では、強い変形(KL3以上)は、女性で腰痛と結びついていました。

だから私は、画像の結果より先に、あなたの動きと、痛む場面をうかがいます。

症状

朝のこわばりと、反らすときの痛みが目印です

初期は、朝の起床時や動き始めに、腰のこわばりや重だるさを感じます。動いているうちに軽くなることも多いです。

同じ負担が続くと、ぶり返します。

来院される方で多いのは、ラジオ体操で腰を反らしたときの痛みです。椎間関節が変形して、反らせる範囲が狭くなっているためです。

長く歩く、長く座る、中腰になる。同じ姿勢が続く場面でも、痛みは出ます。

指を立てて話す若林院長

豆知識

ラジオ体操が悪いのではありません

背中を反らす動きは、椎間関節がいちばん詰まる動きです。変形していれば、そこが先に音を上げます。体操が悪いのではなく、関節が「そこまでは反らせません」と教えてくれているだけです。反らす範囲は、痛みの出る手前までにしましょう。

対策はひとつです。同じ姿勢を長く続けないこと。30分に一度は、立ち上がって歩いてください。

最後に立ち上がったのは、いつでしたか?

病院へ行く目安

こんなときは、先に整形外科へ

次のどれかに当てはまるなら、まず病院で検査を受けてください。

  • 尻もちや転倒のあとに、背中や腰が強く痛む(骨がもろい方は、軽い尻もちでも骨折することがあります)
  • 歩くと脚がしびれたり重くなったりして、少し休むと楽になる
  • じっとしていても、夜も痛い
  • 熱がある、理由のわからない体重減少がある
  • おしっこや便が出しにくい、脚に力が入らない

痛みが4週間を過ぎても続くときも、検査で原因を確かめてください。『腰痛診療ガイドライン2019』は、4週間以上3か月未満を亜急性腰痛、3か月以上を慢性腰痛と分けています。

「ここは接骨院より病院が先ですよ」とお伝えするのも、私の仕事です。

自宅ケア

変形は戻りません。それでも、痛みの点数は動かせます

変形して曲がった背骨を、完全に元へ戻すことはできません。

ただ、運動は痛みを下げます。慢性腰痛への運動を調べたCochraneの分析では、運動した人は何もしない人より、痛みが100点満点で平均15点ほど低くなりました。

痛みが落ち着いたあとの再発予防には、歩くことが効きます。WalkBack試験では、歩く習慣と腰痛の教育で、生活に支障が出る再発が28%、受診が必要な再発が43%減りました。

対象は腰痛から回復した人で、変形のある方に限った試験ではありません。それでも、変形は動かない理由にはならない。そう思いませんか?

① 歩く(痛みが落ち着いてから)

試験では、約6か月かけて歩く時間を少しずつのばしました。短い散歩から始めてください。

② ひざ抱え(1か所2分)

反らして痛む方は、背中を丸める方向のほうが楽なことが多いです。

仰向けで、片ひざを胸へ引き寄せて30秒。反対側も30秒。これを2セット、左右で合計2分です。

止めてのばす静的ストレッチは、反動をつける方法より、関節の動く範囲が広がりました(Konrad 2024、77の研究)。週5日以上、合計5分以上のばすと広がりやすいというまとめもあります。

正直に言うと、この動きが変形性脊椎症に最強という研究は、私が調べた範囲ではありません。上の研究も、腰痛のない人が中心です。痛みの出ない範囲で続けてください。

③ 椅子からの立ち座り(筋トレ)

椅子に浅く座り、手を使わずにゆっくり立って、ゆっくり座ります。10回を1セット、1日2セットから。腰を反らさず、お尻と太ももの力で立つのがコツです。

狙いは、筋力を落とさず、日常生活に支障が出ないよう保つことです。

これはやめておきましょう

  • 痛みの出る方向へ、無理に反らす
  • 脚にしびれが走る動きを続ける
  • 反動をつけて、勢いよくのばす
  • 痛みを我慢して、長い時間運動する

当院の施術

当院での、変形性脊椎症の診かた

WHOの2023年のガイドラインは、慢性の腰痛に運動プログラムと、痛みについての説明を勧めています。当院も、手技だけでは終わらせません。

  1. お話を聞く:朝のこわばり、反らしたときの痛み、長く歩いたときの様子
  2. 動きを見る:反らす、前に曲げる、ひねる。押して痛む場所、脚のしびれ
  3. 手技と運動のアドバイス:必要に応じて温熱も使い、その日の状態に合わせます
  4. コルセットや病院のご案内:変形が強く姿勢が安定しない方には、作業中のコルセットをご案内します。病院が先なら、はっきりお伝えします

よくある質問

変形性脊椎症のよくある質問

変形は、元に戻りますか?

残念ながら、戻りません。ただ、痛みの強さは変えられます。目標は、筋力を落とさず、日常生活に支障が出ないよう保つことです。

コルセットは、ずっと着けるものですか?

変形が強く、姿勢が安定しない方に、食事づくりや掃除をする作業のときだけ着けます。休むときは、痛みがなければ外して構いません。

温めたほうがいいですか?

入浴は、動き始めを楽にしてくれる方が多いです。温めて痛みが強くなるときは、やめてください。

運動して、悪化しませんか?

痛みが強まる動きや、脚にしびれが広がる動きは、その場で中止してください。痛みの出ない範囲で続ける分には、悪化の心配は少ないです。

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背骨の変形、ひとりで不安にならないでください

画像の結果をお持ちの方は、そのままご相談ください。LINEでも、お電話でも承ります。

〒930-0825 富山県富山市上飯野新町三丁目91-1

受付時間 平日 13:00〜20:00(受付19:30まで)/土曜 9:00〜12:00/日曜・祝日は休診

参考文献

参考にした文献

  • 吉村典子「腰椎症の疫学:ROAD研究」(骨・関節疾患の疫学 特集)2014.
  • Muraki S, et al. Prevalence of radiographic lumbar spondylosis and its association with low back pain in elderly subjects of population-based cohorts: the ROAD study. Ann Rheum Dis. 2009;68(9):1401-1406.
  • Brinjikji W, et al. Systematic literature review of imaging features of spinal degeneration in asymptomatic populations. AJNR Am J Neuroradiol. 2015;36(4):811-816.
  • Hayden JA, et al. Exercise therapy for chronic low back pain. Cochrane Database Syst Rev. 2021;(9):CD009790.
  • Pocovi NC, et al. Effectiveness and cost-effectiveness of an individualised, progressive walking and education intervention for the prevention of low back pain recurrence in Australia (WalkBack): a randomised controlled trial. Lancet. 2024;404(10448):134-144.
  • World Health Organization. WHO guideline for non-surgical management of chronic primary low back pain in adults in primary and community care settings. Geneva: WHO; 2023.
  • Konrad A, et al. Chronic effects of stretching on range of motion with consideration of potential moderating variables: a systematic review with meta-analysis. J Sport Health Sci. 2024;13(2):186-194.
  • Thomas E, et al. The relation between stretching typology and stretching duration: the effects on range of motion. Int J Sports Med. 2018;39(4):243-254.
  • 日本整形外科学会・日本腰痛学会 監修『腰痛診療ガイドライン2019』

この記事は一般的な情報です。症状には個人差があり、診断や治療の代わりにはなりません。強い痛みやしびれがあるときは、医療機関を受診してください。

この記事を書いた人

若林接骨院 院長 若林直人

若林 直人

若林接骨院 院長

柔道整復師

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